雑誌「花葉」

花卉生産者育種研究会

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第22回 2005年花葉会サマーセミナー
動き出した生産者育種―その様々な展開―

 生産者育種が動き出した。その脈動を伝えたい。特に、産地育成・強化に腐心する地方自治体・有力農協の指導陣や、独立志向の生産者に参加を求めたい。
 生産者育種は、まだ始まったばかりの21世紀を通して、本邦の花生産者にとっての最重要キーワードになるだろう。生産者育種は経営安定化の有力手段なのだから。
 第22回花葉サマーセミナーは、生産者育種目的と効果を確認した上で、生産者育種を普及するための仕組みを提言する。
 生産者育種にもいくつかの雛形がある。組織として生産者育種を奨める福岡県と兵庫県には、仕組み作りの暗中模索があった。そこには指導者個人の資質が色濃く反映している。彼らの経験は生産者育種の普及に明確な道しるべを与えるに違いない。
 生産者育種に目覚め、既にある高みにまで達した生産者も少なくない。考え方も手法も実に多様である。多くの事例紹介を今後のサマーセミナーの課題とすることにして、今回は鉢物と切花から各一名、アイデアいっぱいの展開をご紹介頂く。
 生産者育種の難関の一つは遺伝資源の調達である。今回のサマーセミナーには、その道の達人、斯界最高齢のネトラーに再登場願い、有力サイトをアップデートして頂く。これはすごい。だが、彼にできて、貴方にできないはずがない。
 生産者育種の目的は、種苗会社の育種目的と異なる。だから生産者育種は種苗会社の育種と共栄できる。そういう意味で、互いに教え合うことで発展してきた日本文化と馴染みやすい。今回、世界トップブリーダー(米国ボジャー シーズ)をご招待できたのは幸いである。内容は高度に違いないが、先達の頭脳・感性の一端を生産者育種の発展のためにご紹介頂こう。
 こうしたセミナーには、専門家の立場から法律の紹介がつきもののようだ。だがサマーセミナーでは視点を変えて、生産者の立場から、育成者権を申請する際のノウハウをご紹介頂く。
 生産者育種は、個々の生産者、地域生産者の経営を安定化させるだけでなく、本邦の花産業全体に国際競争力を与える効果がある。それが心の時代の健康日本にも係わることだけに、行政の支援が期待できる。本邦が誇る農業改良普及員が、次世代の業務として生産者育種の普及を担う、というのが理想の選択であろう。だが、その前に全国の指導者層は生産者育種という価値観を共有しなければならない。これが地方自治体や有力農協の指導陣に参加を求める理由である。

7月23日(土)

日本歯科大学本館8階 富士見ホール

10:20~11:00生産者育種の仕組みをまじめに考える
千葉大学園芸学部 教授  安藤 敏夫
11:10~12:30生産者育種を支えるブルーリボンの伝統とシステム
福岡県農業総合試験場豊前分場長  小林 泰生
12:30~13:20昼 食
13:20~14:40 産地育成に生産者育種を活かして-想いがかたちになる時-
兵庫県立農林水産技術総合センター園芸部 研究主幹 宇田 明
14:55~15:35自分でチャレンジ! 種苗登録
千葉大学環境健康フィールド科学センター  渡辺 均
15:45~17:15三歩先を行くアメリカの花壇苗産業-新時代の花き育種-
ボジャー・シーズ チーフリーダー 有光 芳郎
17:25~18:05総合討論
18:20~20:00懇親会

7月24日(日)

日本歯科大学本館8階 富士見ホール

9:30~10:30私はこうして育種成果を経営に組み込む
(有)末継花園 代表取締役  末継 聡
10:40~12:00吉村ブランドを支える私の育種と経営スタイル
(有)ワイルドプランツ吉村 代表取締役  吉村 人志
12:00~12:50昼 食
12:50~14:10インターネットによる新遺伝資源の探索と導入 part II
千葉大学名誉教授  横井 政人
14:20~15:00総合討論



講師のプロフィール

安藤 敏夫

 千葉大学園芸学部教授。南米の遺伝資源解析をテーマとし、特にペチュニアの原種を求め、ブラジル南東部はじめ南米東海岸温帯地方を調査中。生産から販売・利用まで業界全体を展望し、花産業界に数々の先駆的提言を行う。一昨年10月には、花卉の育種家と生産者が協力して商品開発、ブランド化、販促を行うことを支援する組織、IGC(自立した花卉生産者の会)を設立し、代表として活動中。

小林 泰生

 1971年山口大学農学部大学院修了。修了後、福岡県庁に入り、1年後に園芸試験場花き研究室に異動。1987年に農業総合試験場園芸研究所花き花木研究室長。その後、園芸研究所長等を歴任し、現在、豊前分場長。その間、主に試験研究に従事し、花き・花木類の品種育成、栽培技術改善および作型開発を行う。カーネーションの新品種育成、低温育苗法によるトルコギキョウ、スターチス等の新作型開発などに成果をあげる。地域特産花きに向けた生産者育種を支援し、生産者育成品種「福岡ブランド」の開発に取り組む。

宇田 明

 1970年千葉大学園芸学部卒業。卒業後、兵庫県立農業試験場淡路分場にて花き研究員として勤務。2003年より農林水産技術総合センター園芸部 研究主幹。その間、一貫して花きの試験、研究に従事。花きの鮮度保持技術開発の研究における第一人者。淡路の主要花きの品種育成に関わり、カーネーション‘スプレンダー’、寒小ギク‘島小町’などの品種育成、コーラル系カーネーション、ストック、などの系統選抜を行う。常に生産者の視点で、花きの品種育成、栽培技術の開発を行ってきた。

渡辺 均

 1991年千葉大学園芸学部卒業。北海道大学大学院を経て、1993年にサントリー株式会社に入社。1996年より千葉大学園芸学部教官。現在は、千葉大学環境健康フィールド科学センターに所属。ペチュニアと近縁属の遺伝資源解析を主な研究テーマとする。最近では、花壇苗生産技術、屋上緑化技術、芳香性花卉品種の開発など幅広い研究にも取り組む。自ら育成した新品種の種苗登録も手掛け、種苗登録のノウハウに詳しい。

有光 芳郎

 1958年高知大学農学部卒業、タキイ園芸専修学校で園芸育種を研修後1959年渡米し、ボール社に勤務してペチュニア、キンギョソウなど花の育種活動を開始する。同社買収のパンアメリカン社で育成したジニア’ワイルド・チェリー’で最初のAASを受ける。その後ピーターパン・ジニアも育成したが、1976年カリフォルニアのボジャーシードに移り、マリーゴールド、デルフィニウム、ポーチュラカほか多数の花壇用花きのF1品種を育種して今日に到っている、とくにマリーゴールド・F1ディスカバリー・シリーズやデルフィニウム’マジック・フォンテン’は花の世界で有名。彼の貴重な経験と親しみやすい人柄から世界の花ブリーダーから"ヨシ"と呼ばれ尊敬されている。

末継 聡

 1946年生まれ。1985年、福岡県農業大学校卒業と同時に施設園芸農家として就農。イチゴ、メロン、トマトに取り組む。1991年、結婚を機に切花栽培へ移行。ストック、アスター、デルフィニウムなどを経て、1994年、トルコギキョウを導入。1998年から自家採種を一部開始。ユリとのローテーションを行い、無理をしない育種規模を目指す。地元、嘉穂の花振興にも努力し、現在、筑豊トルコギキョウ研究会会長を務める。2004年、第43回農林水産祭にて、内閣総理大臣賞を受賞。

吉村 人志

 (有)ワイルドプランツ吉村 代表取締役社長。花のことなら導入育種から生産販売まで、すべての面をカバーし、独自のアイデアと工夫で常に新しいチャレンジに取り組む。佐世保のほ場ではマーガレット, ワレモコウをはじめ、年間120以上の品目を作付けし、そのうちの半分以上は氏のオリジナル品種。長年にわたって国内外から集めた数多くの素材を活かし、選抜や交配で品種育成を行い、植物のもっている魅力を最大限引き出し、付加価値をつけて商品化していくのは氏ならではのもの。

横井 政人

 千葉大学名誉教授。長年にわたり、植物の色彩、色素に関する研究を行うとともに、日本園芸植物標準色票を編纂。本色票は新品種登録、記載時のスタンダードとして広く利用されている。斑入り植物およびカラーリーフを得意とする。インターネットを利用し、世界中から植物を収集し、評価を行っている。著書には「原色斑入り植物写真集」「カラーリーフプランツ」ほか多数。

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